介護と育児のダブルケアをしているSakuです。
母の介護施設を探し、いよいよどの施設にするか母自身に選んでもらう段階になりました。
少し頑固な一面もある母との話し合いは、一筋縄ではいかない予感がありました。だからこそ、できる限りの事前準備をして臨むことにしたのです。今回は、その時の経験と、母に理解してもらうために伝えた大切なことについてお話しします。
まずは事前準備。どんなことをしたか
どんな事前準備をしたかというと以下をしました。
- 打ち合わせをする時間の確保
- 打ち合わせの同席者のお願い
- 次に行く予定の施設について
打ち合わせをする時間の確保
母が現在お世話になっているショートステイ先は、面会時間が15分と非常に短いのがネックでした。
今後の生活の場を決めるのに、その時間では到底足りません。そこで施設に交渉し、結論が出るまで時間を延長してもらえるようお願いしました。
打ち合わせの同席者のお願い
話し合いの場には、ショートステイ先の担当者の方と、母のケアマネジャーさんにも同席をお願いしました。
これは、私が母に対して感情的になってしまった場合に、冷静に対応してくださる方が必要だと考えたからです。
次に行く予定の施設について
見学してきた複数の施設について、それぞれのメリット・デメリットを客観的に伝えられるよう、情報を整理し、準備を整えました。
いよいよやってきた。 母との打ち合わせ
話し合いの前に伝えたかった「6つの覚悟」
いよいよ話し合い当日。施設の話に入る前に、まず母に「これから施設で生活する上で、必ず理解してほしいこと」が5つあると伝えました。伝えた項目は次の6つです。
- 費用の現実を理解する
- 共同生活が前提 ルールの中で暮らす
- 人の選り好みはできないこと
- 「次はない」という覚悟と環境への理解
- 入居者の多くは80代後半~90代であること
- 自分ごととして捉えてほしい
これは、新しい環境で少しでも穏やかに過ごしてもらうために、どうしても先に認識しておいてほしかったからです。
A4用紙に1項目ずつ書き出し、1枚ずつ丁寧に説明しました。
1. 費用の現実を理解する

- 介護施設には費用がかかること介護サービスを利用するには、月に数十万円単位の費用が必要です。
- 決して安い金額ではありません。
- 貴重なお金を使っているという現実を、まずはっきりと認識してもらう必要がありました。
2. 共同生活が前提 ルールの中で暮らす

- 共同生活が前提であること介護施設は自宅ではありません。多くの方々と一緒に生活する場です。
- そのため、自宅と同じような自由気ままな生活はできません。集団生活のルールを守る必要があることを伝えました。
3. 人の選り好みはできないこと
- 例えば、母はショートステイ先で特定の方との関わりを避けようとすることがあったようです。
- 新しい環境では、人間関係の選り好みが難しいことを理解してもらう必要がありました。
- 「合わないから」と人を避けるのではなく、ある程度受け入れていく姿勢が大切と説明しました。
4. 「次はない」という覚悟と環境への理解
「次に行ったところが嫌だから他へ」は通用しないことを伝えました。今回、短期間で施設を探すのには大変な労力と時間がかかました。
入居後の手続きなどを考えると、簡単に施設を転々とすることはできません。
「ここが合わないから次を探そう」という考えは、現実的ではないことも伝えました。
母には、どこか理想の場所があるはず、と夢見がちな部分がありましたが、まずは目の前の環境でどう過ごすかを考えてほしかったのです。
5.入居者の多くは80代後半~90代であること
見学した複数の施設において、入居者の年齢層は80代後半から90代が中心であるという印象を受けました。
そのため、70代である母にとっては、同年代の入居者が少なく、コミュニケーションに齟齬が生じる可能性も考えられます。
以前、ショートステイ先で年上の方々との意思疎通の難しさを「宇宙人のようだ」と表現したことがありましたが、多くの施設における一般的な状況がそうであることを理解してもらう必要がありました。
6. 自分ごととして捉えてほしい
すべては「自分ごと」であること母には、何か問題が起こると「あの人が決めたから」と、他人のせいにしてしまう傾向が見られました。
しかし、施設に入居し、これからの生活を送るのは他の誰でもない、母自身です。
今回の施設選びも、これからの生活も、すべて「自分ごと」として捉え、主体的に関わってほしいという想いを伝えました。
予想通りの反応とケアマネージャーの助け舟

これらの内容をまとめた用紙を渡すと、案の定、母はみるみる不機嫌になり、怒り出してしまいました。
「こんなことを言われる筋合いはない」という表情です。
その時、すかさずケアマネージャーさんが
「○○さん(母の名前)、これは他の誰でもない、あなたのこれからの生活のお話ですよ。ここで私たちに怒りをぶつけても、何も解決しませんよ」と冷静に入ってくださいました。
本当にその通りです。今の状況は、母自身の課題でもあるのです。
怒りの感情をぶつけられるのは辛いですが、ここで引くわけにはいきません。
幸い、ケアマネージャーさんの助けもあり、少しずつ母も話を聞く姿勢になってくれました。
最終的には、私が見学してきた施設の中から、母にとって土地勘のある地域の施設を選ぶことになりました。
今回の話し合いは、気持ち的に大変なものでした。しかし、今後の母の生活、そして私にとっても、避けては通れない道だったと確信しています。厳しい内容も含まれていましたが、事前に覚悟を伝え、現実を共有しておくことが、後々の関係のためにも重要だと実感しました。